プロジェクト概要
食品流通企業のマーケティング営業部門。週次で作成する販促資料は、担当2名が週あたり4〜5時間ずつ、合計8〜10時間を手作業に溶かしていた。過去事例はファイルサーバーを漁り、フォーマットは担当者ごとにバラバラ、販促パターンは暗黙知として個人に閉じ込められていた。
表層の依頼は「資料作成の効率化」だった。しかし探針として動くデモを提示した瞬間、決裁者が自ら「冷凍食品の販促物イメージも作れないか」と言い出した。本当の課題は工数ではなかった。営業担当者がクリエイティブを自力で完結できない構造——これが核心だった。
AIで資料を作るのではない。AIを介して、担当者が自分の判断でクリエイティブを完結できる状態を作る。それがこのプロジェクトの射程となった。
アプローチ
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販促パターンの構造化: 過去1年分の資料438件を分析し、大分類10・小分類24の販促パターンとして体系化。暗黙知を形式知に変換した。
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協働型AI設計: 丸投げではなく、担当者がAIと対話しながら完成させるフロー。テンプレ推薦・商品情報自動抽出・地域差対応・画像生成はAIが担い、MDごとの好みへの調整と最終判断は人間が握る。
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PDF入力から即PPTXへ: 商品コード・ブランド・サイズ・売価・原価等を原稿PDFから構造化抽出。python-pptxで自社フォーマットに流し込み、SharePoint自動保存まで一気通貫で繋げた。
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技術の見えない設計: Flask + React + GCP Cloud Run をバックエンドに、テキスト生成はClaude、ビジュアル生成はGeminiを使い分け。現場には技術スタックを一切意識させないUIに仕上げた。
成果
- 担当2名で週8〜10時間かかっていた資料作成を、2名合計1時間に短縮
- 販促パターン438件を大分類10・小分類24で自動分類、担当者が変わっても品質が均一化
- 部門全体に適用範囲を広げ、書式標準化の基盤として展開中
- 「資料作成ツール」ではなく「クリエイティブ自己決定権」を戻す設計として、次フェーズ(販促物イメージ生成・POSデータ連携)へ継続